◎ 激動の経済潮流の中でCOVID-19以上に動いている事
◎ 原油価格暴落は世界通貨の暴落
◎ 中国のバブル崩壊の数字を一気に公開
◎ 株価暴落から社債金利の上昇・中央銀行を含めた銀行間の信用の崩壊・多面的な金融危機まで
◎ 新興国通貨の(対ドル)暴落
激動の経済潮流の中でCOVID-19以上に動いている事
図1は、昨年2019年、年末の日本の報道である。
図1:2019年12月30日に東京証券取引所で行われた大納会は29年ぶりに高い水準を付けた
過去には東証大納会が3万円を突破して終わったが(図2)、その直後の年明けに平成バブルが弾け、下落が始まり失われた20年、30年となった。
―――――――――――――――
2019年12月30日
「29年ぶりの高値 株式市場は安泰か? ~令和元年の東証大納会~」
以下抜粋
平成から令和に時代が変わった2019年の12月30日、東京証券取引所でことし最後の取り引きが行われ、日経平均株価は年間の終値として平成2年以来、29年ぶりの高い水準をつけました。しかし、証券市場は高値に沸いたわけではありません。多くの市場関係者は株価は、米中の貿易交渉に翻弄され、気を抜けない日が続いたと振り返りました。
出所:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191230/k10012232461000.html
―――――――――――――――
図2:1988年の大納会の様子
出所:https://www.chukei-news.co.jp/news/2018/12/28/OK0001812280d01_06/
■世界大暴落のブラックマンデーを凌ぐ史上初の下落が日本ではまだ軽視されている
横浜港に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対応が、主に海外メディアの報道を経由して連日世界各国に「対岸の火事」として広まった。2020年3月初旬は世界中で「中国と日本から離れろ!危険だ!」と広まってしまった。
このクルーズ船での一件により、中華系の人(日本や韓国を含むアジア圏の人)は危ないというイメージが米国だけでなく他国でも同様に市民の間で広がっただろう。この「どこの国だかわからないけれど危ない」と思う現象は、例えばイランの人とイラクの人の違いや、ノルウェーの人とスウェーデンの人を見分けるのが難しいのと同じだ。
COVID-19におけるマイナスリスクによって、「中国+近隣アジア」というブランドはかなり不利なスタートを切ってしまった。もし日本が「オリンピックやパラリンピックさえ延期でも開催できれば全てが挽回できる」と思っているならば、複雑な国際情勢を考慮できていない「単国単位の考え方」であり、「短期的」な考え方だろう。しかしながらこの「単体で」「鈍感かも」の現状こそが今後、「雨降って地固まる」「災い転じて福となす」の可能性もあると願うのが今月号のMAD MAN Monthly Reportの趣旨だ。日本お得意の「長期を見据えて」考えるための第一章だ。
現在世界的に発生している医療・経済・金融界そして法務的な面も含めた難しい状況を、日本の報道機関やSNSなどからは見えにくい大きなカテゴリー(経済・債権・通貨の市場)とそのインパクトについて気付きを共有したい。遠くに思える話を身近な理解へと繋ぐことが目的だ。鈍感であったが故に助かり、先を見ようと修復すれば挽回できる事がある。
すでに実際にビジネスの苦境だけでなく、COVID-19の人体的な感染にあわれた方々の事情や配慮を心がける。これらを踏まえてこの危機を乗り越えるために、MAD MAN独自の視点を共有することをお含みおきいただきたい。
なお、執筆時の2020年3月20日を軸としている。
■筆者を含めた在ニューヨークでの日本人たちの失敗
今となってはすでに過去の笑い話だが、2020年2月に入りようやく米国でも遅れて日本や中国と同様の騒ぎが起こりはじめた。中国や日本での騒ぎを報道やネットで様子を見ていた米国やニューヨーク在住の日本人はこぞってSNS上で、
「ニューヨークでは誰もマスクなんてしていないよ!」
「日本は騒ぎすぎだよ!」
「ニューヨークの地下鉄でも平常通りです」
などのコメントを発し、完全に天に唾する行為が見受けられた。
しかし3月になった今、それらが全て自分たちに降りかかってきている。「自分は大丈夫」と、世界的な現象に対して述べた事の愚かさであり、マイナスリスクの過小評価の典型例だろう。
米国在住の日本人は先行して気づけたはずのリスクを過小評価し、そういった報道を好むあまり、カウンターパンチを浴びせられた状態になった。この様に過剰反応を嫌うあまり、見えてないリスクまでも過小評価してしまうという人間の行動特性について認識しておきたい。
図3:Bloombergが2020年3月19日発表した日本におけるコロナウイルスの拡大についての記事
「日本の感染者数の発表が、2ヶ月経っても他国より少ないのはおかしい」と報じている
2020年3月16日からニューヨークやサンフランシスコをはじめ、本格的に学校の休校やレストランの営業停止が公示され、ブロードウエイの劇場やスポーツ競技が中止されているのは報道のとおり。
さらに2020年3月20日はカリフォルニア州が「全州外出禁止」という戦時中の様な臨戦態勢に入った。カリフォルニア州の大きさは日本の国土がすっぽり入るほどで、人口約4,000万人という国家サイズだ。さらにニューヨークは全労働者の出勤が禁止、イタリアをはじめ他各国でも外出禁止令が出された。
■COVID-19報道を理由とした経済的影響は表向き
一般消費者目線でこれらの「COVID-19」の事象を追ってしまうと、COVID-19感染者や地域の拡大による経済的影響と考えてしまいがちになる。MAD MANではその向こう側を問いたい。
日々のニュースでは、この感染者数を日々塗り替えられる世界記録のごとく報道する。テレビ局や新聞社が1面で報じる一般市民向けの掴み報道や、身近な人によるSNS上でのシェアにより目の前の事象にとらわれ、遠くにある重要なことが曇りがちになる。
筆者もバイアスがかからない様に工夫をしているが、日本の報道やSNSの特性は、日経新聞やNHKであっても日本を基準とした話でとどまっており、SNSに至っては目の前の面白ニュースに感じるのでは・・・
続きはMAD MANレポートVol.64にて
ご購読のお問い合わせは、本サイトのコンタクトフォームより、もしくは、info@bicp.jp までお願いいたします。
MAD MAN Monthly Report の本編は有料(年間契約)となります。詳しくはこちらのページをご覧ください。