●WPPの作ったXaxis会計のインパクトとは
●アマゾンFlowと、Dashと、プライムNow
●ネットフリックス対アマゾンのImplicit Data(潜在データ)争い
●遠いアフリカの事ではない、空飛ぶWi-Fi飛行機、LTE気球
●TV通貨「レーティング」の主導権
●ADK創業者、故・稲垣正夫氏のグローバル施策
●マーチン・ソレルCEOの新語「データ・ホリゾンタリティ」から見ること
ネットフリックス対アマゾンのImplicit Data(潜在データ)争い
先のアマゾンのコラムと同様、米動画配信サービス最大手ネットフリックスの躍進も、データの潜在意識下に入り込む事で成功を収めている。4月の2015年第一四半期の決算の発表では、市場コンセンサスを上回り14%も株価が跳ね上がった。右肩上がりの報道には慣れてしまったが、ネットフリックスの企業価値が339億㌦(約4兆円)となり、米テレビ企業大手CBSコーポレーションの時価総額307億㌦、音楽チャンネルMTVを傘下に持つ米ケーブル大手バイアコムの286億㌦を上回った。
■拡大する視聴者とコンテンツ
報道では新規の加入者が増えた事を上昇の理由とし、すでに飽和と言われる米国市場の加入者が4,000万人の大台を突破し、海外市場で2,090万人、合計6,000万人を超えた。これまで月額100−200㌦払っていたペイテレビ(CATV・衛星・電話会社等が提供するテレビ配信事業)からの解約(コードカッティング、=ケーブルを切る)傾向に拍車をかけたネットフリックスの月額は8㌦。
視聴者はネットフリックスにさえ申し込めば、放送後のテレビ番組や、劇場で公開済みの映画が見放題だけでなく、『ハウス・オブ・カーズ』等の新シリーズを筆頭に巨額の制作予算を投入するオリジナル作品が見られる。ネットフリックスはドラマだけでなく、ライブアクションからコメディー等のコンテンツ幅を広げている。
■浸透率の広さ
ニールセンが発表した2014年Q2レポート(※)によれば、すでに米国世帯の5軒に2軒(36%)が ネットフリックスのサービスに加入している。サブスクリプションがこれほどの浸透率というのは昔の新聞でも達成できない程の数字だ。忘れてはならない、有料オンデマンド(SVOD、Subscription Vide On Demand)カテゴリーで続いているのがアマゾン。アマゾンがデータ囲い込みの基幹商品「プライムメンバー」であれば、自動的にVOD「アマゾン・インスタント・ビデオ」が見放題になる。プライム年会費は99㌦。ネットフリックスに負けないオリジナル作品を投入し世帯の13%まで浸透させ、今年はゴールデン・グローブ賞を受賞する作品も登場した。SVOD老舗であったはずのHulu(ディズニー、21世紀フォックス、NBCユニバーサル等が出資)の有料サービス「フールー・プラス(月額約8㌦)は浸透率6.5%に留まる。
図1:Total Audience Report2014
■自然に近い「ながら視聴の」重要な事
テレビ本来の視聴スタンスの「ながら視聴(受け身視聴)」で、レコメンデーション(お勧め)がサクサク現れるのはテレビ視聴者には、気づかぬとも重要な要素だ。。。という事にまだ気づいてないかもだが、ネットフリックスの視聴の75%はレコメンデーションから視聴される。自分へのレコメンデーションで視聴するためには、世帯でシェアをするテレビモニターには誰が見ているかを自主的にログインさせてしまう動機がある。これで「個人視聴率」の計測どころか個人の視聴傾向が蓄積されていく。性別年齢、地域、収入などの「デモグラ」に左右されることなく、例えば、アクションムービーを好む70歳代の女性や、ロマンチック少女物語を好む10代男子と細かくセグメントしていく。
ピープルメーターやアンケートで採取できるデータは、自己申告する本人が自覚している=能動の「明確なデータ(Explicit Data)」だ。検索結果や、フェイスブックやツイッターでのシェアや言動データもこのカテゴリーに組み込まれる。しかし、・・・
続きはMAD MANレポートVol.5にて
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