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●拡大特集:米ベライゾンのAOL買収の何が凄いのか、見えざる変曲点を読む
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拡大特集:米ベライゾンのAOL買収の何が凄いのか、見えざる変曲点を読む
米大手通信キャリア企業のVerizon Communications(以下ベライゾン)が米AOLを44億㌦(約5280億円)で買収を発表した。プログラマティックと、メディア・ニューフロント(※)では有名なAOLが買収される事は、単なるベライゾンの「ビデオ」「モバイル」事業の拡張のためという解釈だけでなく、次なる連鎖反応の予兆として、米国でのインパクトを知る意味は大きい。
■現AOLは2000年のタイム・ワーナーと合併したAOLではない
念のために解説しておくが、旧AOLは98年映画「ユー・ガット・メール」登場後、2000年のドットコムバブル時代にタイム・ワーナーとの合併をした。この当時のAOLのイメージを持っていたら全くの間違いだ。2009年にタイム・ワーナーがAOL部門をスピンオフし、元グーグルで米国広告事業のトップであったティム・アームストロングCEOを迎え入れた新AOLは、デジタル・メディアのプラットフォーム企業(広告収益事業)をメインに打ち出す大転換を行った。以降、AOLが買収した傘下にはハフィントン・ポスト、テッククランチ、Adap.TV等が並ぶ。※AOLの躍進ぶりは業界人間ベムのブログ2013年に取り上げている。http://g-yokai.com/2013/09/post-321.php
MAD MANレポートで取り上げたいのは大きく2つ。(1)AOLの事業転換のうまさについて、(2)ベライゾンのビジネス環境について、取り上げる。
(1)AOLのうまさについて:
MAD MANレポートでは常々お伝えしている「自社価値の「売り」戦略が」が(またしても)功を奏した。AOLは企業価値を高め、自社を売り出す事でさらなる大きなステージを目指した。ベライゾンへの売却後もAOL名の元での事業は引き続き継続拡大される。買ったベライゾンが凄いというより、このピークの時点で売ったAOLの次の戦略が注目される。ティム・アームストロングCEOは言わずと知れた業界有名人だ。
(2)ベライゾンの環境について:
回線契約(サブスクライブ)による殿様収益モデルから、広告を含むサービス提供事業へのシフトが始まっている。グーグルとフェイスブックによる通信事業への進出から回線コモディティー化が進み「グーグル・ファイバー」「Wi-Fi共有サービスFON」「Project Fi」「Loon」「Inernet.org」等が、回線ビジネスを駆逐する事が既に見えている。鍵は、収益ユーザーは回線に紐づくのではなくコンテンツに紐づくので、今後の買収ターゲットは旧テレビ局を含むビデオコンテンツ・ホールダー、あるいはマーケティング・サービス企(起)業に移り、インフラ巨大資本による買収合戦の号砲が鳴ったと見る。
以下、(1)(2)それぞれを解説する。ブランド目線では、ベライゾンのAOL吸収は、グーグル、フェイスブックに対抗する新たな「ウォールド・ガーデン」が登場した事になる。短期的にはクロスデバイスでスケールするための接続するプレーヤーの数・手間が増えた形だ。ブランドが環境に振り回される事なくブランド主導で経営が進められるよう、下記のレポートが「ブランド自社のサービス・コンテンツ(に紐づくオーディエンス)の囲い込みを進める」動機、裏付けになる事を期待したい。
(1)AOLの事業転換のうまさ:
Screen Shot 2016-09-10 at 21.23.42上記表は、AOLビジネスの過去3年の四半期ごとのRevenue(上半分)と営業利益※(下半分)だ。AOLのビジネスを知れば、企業経営のコツのようなものが見える。AOLには3つのビジネス柱があり、上記表の上から・・・
続きはMAD MANレポートVol.6にて
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