Vol.83 「ジェネレーションα(アルファ)」は 2022 年で 12 歳

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<10月号の目次>

◎「ジェネレーションα(アルファ)」は2022年で12

◎ 医療産業の2強:「AWS for Health」対「Microsoft Cloud for Healthcare

◎ コラム:日本製スマート家電の「遅れ」の現場

◎ D2CビジネスとD2Cブランドは別物

◎ Macy’s のマンハッタン本店の赤看板をAmazonが乗っ取るオファーの深い意味

3)ブランド企業の「アルファ世代」に対するアプローチの変化

 

先の筆者余談を例にして、アルファ世代が「見たことがない、知らない」世界の想像を膨らませてみよう。

 

      • レコードプレーヤー、VHS、ポケベル、伝統的な辞書(印刷だけでなく電子辞書を含め)、電話帳、ラジオ、DVDプレーヤー、目覚まし時計など
      • 映像や写真に関連する「フィルム」を使うカメラを知らず、「現像」を経て写真が紙焼きである状態を知らない。活字原稿では締め切りの設定(印刷入稿)が存在するが、「締め切る」概念がない(いつでも撮影できる、変更できるという意識)。

      • Phone(電話機)は電話局を通じた通話の送受信機ではない。「スマホ」とは写真を撮り、インターネット経由でニュースを摂取してビデオを録画・閲覧し、ゲームをリモート同士でおこなうツールであり、しかも「(電話を)切る」という動作がなく、「常時接続」で手のひらに存在する。

      • 財布や貨幣・紙幣の利用経験がなく、同様に使い捨てプラスチックの利用経験がない。筆記試験でのテスト参加すらも経験がなく、そして今後も発生しない。

 

(ぜひ、この事例の続きを読者案としてお待ちしています。)

 

その一方で、アルファ世代の幼少時代には「存在していないかった新たな職種・職業」に、おそらく6割以上が就く。これは現在の現象でも既知のことだが、アルファ世代ではさらに加速する。

 

たとえば、「サステナビリティ(持続可能性)」の概念や「社会的平等」「アクティビズム」などの課題すらも、「アルファ世代」は幼少の頃(=現在)から関心を持って教育を受けている。さらに、次の新しい概念の職種が6割以上は生まれるという流れが来るだろう。

 

アルファ世代の動きを予測する大きなエネルギー

 

アルファ世代の行動の原理として、その変化(シフト)を構成するマグマの大きな要素は下記の2つだ。

 

    1. ミレニアム世代である「親」の子どもに対する教育投資への価値観シフトと投資額が年々増大すること(限度があるにもかかわらず上昇させるベクトルがあること)
    2. 「デバイス経由」でアルファ世代に到達しようとするコンテンツ(啓発・洗脳・教育)の内容が年々多彩化すること
  1.  

 

当然ながらマーケターやブランドは、後者の②に向けたツール・おもちゃ・アプリケーション・学習機会・6Gを含めた「新しいつながり方」を通じて、なんとか前者①のミレニアム世代経由でアルファ世代に「リーチ」を作りたい、売上を上げたい、と現状では考えている。

 

今の売上の延長ではないアルファ世代

 

消費者と企業がバーチャルでの関係を構築する行為や工程とは、ブランド企業側のインフラ全体を一掃してしまうことに通じる。まったく新しいつながり、エンゲージメントのカテゴリーを構築していくプロセスだ。

 

「アルファ(+ベータ、ガンマ、、)」という単語が「X-Y-Z」の並びから別レイヤーの並びになっているのも、そんな意味合いがある。

 

企業が結果を期待する時間軸は、気の遠くなるような20年先のことではなく、おおむね「今から3年先には顕在化」するスパンだ(アルファ世代が15歳になる頃)。

 

現在の行動の延長にあるデジタル化としてのDXではなく、アルファ世代=火星人としての関係構築は、企業存続の「LTV」から考えても、準備を開始することは急務になる。(※未知の新しい価値観を持つ人類の例え)

 

オフラインである物理的なモノや商品がなくなるわけではない

 

スクリーンデバイスの商品やアプリ、クラウド上でのサービス提供だけでなく、「デジタル上でのスクリーン偏重」の環境だからこそ、むしろ物理的な「モノ」への憧れや人気が上昇しているカテゴリーも存在する。

 

オンライン・オフラインと区別するのではなく、物理的な商品であっても「メンタル(こころ)」の要素が大きい点は注意して見ておきたい。その意味からも「教育」というデータの存在が大きく、物理的な商品やサービスの消費を大きく左右するトリガーになる。

 

「教育」という価値が増大する理由は「こころ・人を動かす」という生命に連動する分野のデータ、産業だからだ。これは「医療」の分野に限りなく近い。

 

生命に近い分野だからといって「高価なデータ」として収集することに目がくらんでは本末転倒になる。生命に対して何を提供しようとするのか、アルファ世代の人々から受け取る姿勢こそが最初の起点だ。あなたの企業が「アルファ世代から課金できる銭儲けをしたいのか」と問われれば、どう答えるか(コタエを持っているだろうか)。

 

アルファ世代向けのブランド事例

 

すでに日本でも取り組んでいる事例もある。アルファ世代という冠を使っていないだけで、実は若年層向けマーケティングとして進行している分析や考え方が存在している。さらに各産業別にも多数存在するはずだ(例:自動車・飲料・ファッションなど)。

 

MAD MANレポート読者が理解しておきたいのは、米国や各国でのアルファ世代の先進事例とは、「少しだけ日の目を見た」ブランド企業側の自己主張やPR記事情報に過ぎないことを再確認しておくことだ(釈迦に説法)。これらは模範解答でもない途中経過としての共有だ。

 

その途中経過を把握したうえで、それらの「事例&事例&事例」を理解するよりも、物理的な商品やサービスができあがったプロセスでの「プラスの考え方(背景にあるディストリビューションとしての繋がり方)」や「プラスの行動(背景の製品開発や工場・販売のプロセス)」のエネルギーを想像し、自社の次の行動を考えてみたい。

 

考察する事例として、あえて「オンライン特化サービス」の事例ではなく、「アナログ商品」の事例を選択した。これらは、Adageにて企業対策PRとして紹介されていたアルファ世代向けの事例だ。華々しい「デジタルデバイスやアプリ、クラウドを使って」という説明からは遠い、アナログでベタな事例を並べてみた。

 

むしろこのようなアクティビティこそが、大企業として取り得る「その向こう側」の行動や最初の一歩のヒントになるはずだと・・・

続きはMAD MANレポートVol.83にて

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