◎ Appleも「社内向け」で医療改善実験プロジェクト
◎ 日本の移動店舗「とくし丸」はAmazon/Walmartを越えたグローバルに依存しないOne-to-One新ビジネスモデル
◎ ファーストパーティ・データがダーク・データに?
◎「オルタナ・データ」は代替(Alternative)策となるのか
◎ ChromeによるサードパーティCookieブロック
◎ Googleがデータ違反金に耐え続ける体力はどこまで続くか
Googleがデータ違反金に耐え続ける体力はどこまで続くか
Alphabet/Googleはこれまでデータ関連の「違反金」を幾ら課され支払っただろう。この3年間、独占禁止法という名の元でEU当局から過去3年で合計約1兆円(約93〜94億ドル)の支払いを命じられている。
・2017年 約3,000億円(約27億ドル)
・2018年 約5,500億円(約50億ドル)
・2019年 約1,900億円(約17億ドル)
■他方からの違反金課金に耐えるAlphabet/Google
Alphabet/Googleが「課金」しているのはユーロ機関だけではない。1国=フランスのデータ保護監視機関は、2019年1月にAlphabet/Googleに対してGDPR規範に違反したことで5,000万ユーロの罰金を科した。その判断はGoogleがユーザーに対して、個人データの取り扱いとパーソナライズ広告(ターゲティング)についての同意の「とり方」に透明性と明確性が欠けており、警告に従わなかったというものだ。フランス当局はこれまでにもAlphabet/Googleに対する罰金は度々あり、過去にも約1,100億円(10億ドル)ほどの支払いを命じている。
・2019年12月にさらにフランス政府当局から 約165億円(1.5億ドル)
Alphabet/Googleは、この決定に対して上訴すると述べているので、まだ決定ではなさそうだ。しかし今回の件がGDPR/CCPA以降として興味深いのは、あるフランスの会社がGoogleから広告停止を受けた事が発端になり、その審議が訴えた方と訴えられた方の両者が「消費者を守る」見地であった事だ。
フランス当局の判決から言えば、消費者のデータ保護の見地からGoogleが対処した「広告停止」は独禁法の見地からすれば「市場支配力の乱用」として解釈されたことになった。つまり「正義のために尽くした事が解釈次第では正義ではないかもしれない」というような事態なのだ。現在の市場における「矛盾や迷い」を象徴するような出来事だ。
捜査の元となった企業はフランスの会社「Gibmedia」で、この会社は天気予報や企業データ、およびディレクトリを提供するさまざまなWebサイトを運営している。Gibmediaの言い分はGoogleが予告なしにGoogle広告アカウントを停止したと非難していた。フランス規制当局の4年間による捜査の結果、Google側が使用条件とルールを自由に変更することが、Googleが市場の力を乱用している、という判断になった。
フランス当局の見解は「規制が適用である理由として、この種のサービスのみで生活・運営をする一部の中小企業に対して、Googleの行動はその事業を生きるか滅びるかを突きつける行為だ」とする。オンライン検索ビジネスで約90%の市場シェアを持つGoogleは、検索結果のスポンサーセクションに広告表示を行う「Google Ads」のルール定義に関し、客観性と公平性が欠けているとした。
フランス当局はロイターへの取材に対して「大きな力には大きな責任が伴う」というルールを当てはめたとしている。これは表面的な美しい意義だけでなく、実は現在世界に静かに浸透しつつある「グローバル・スタンダード」に対する「果たしてそれに従うのか」というローカル(各国)からの疑問であり意思表示なのかもしれない。Googleのような世界統一のサービスに対して「フランスとしては異議あり!」という提言に見える。Gibmediaはフランス発の企業でありフランス政府側としてはGibmedia側の言い分を採用し、米国Googleに制裁を加えた。
■消費者の保護と出稿主を平等に扱うための両立とは
Alphabet/Google側の言い分は「Gibmediaのアカウントを停止したのは、消費者側がサービス利用の代価の支払い条件が不明確であるなど騙すような行為が伺えるため、人々が不利益を被ると判断した。この種の不明瞭な広告は望まないので、消費者を危害から守るために広告収入をあきらめGibmediaを停止した」
Gibmediaはもちろんこの主張に反論し「不明瞭や詐欺行為で有罪判決を受けたことは無く、逆にGoogleは反競争的行為で2019年初頭に非難されたばかりにもかかわらず、またしても被害者を攻撃する(Gibmediaを妨害する)以外の防御を持たないのは、考え直してもらいたい」とする。
この「市場占有率のパワーの乱用」というのは、巨大Googleだけの事として片付けてしまってはその背景にあるトレンドを見失う。MAD MANレポート読者に置き換えれば、「一つの商売企業として、ユーザー顧客を公平に扱う必要が(当然)ある」というあたり前の考えが、単なる過去の考え方のままでは不十分で、塗り替える必要がでてきている。
例えばWEBサイト運営企業において、ユーザーがWEBサイト運営企業の利益基準で望まない「Cookieをオプトアウト」した時にも同様の議論が発生する。サイト運営企業目線で「良かれ」と判断する運営方法が、CCPA・GDPRが示すガイドラインでは・・・
続きはMAD MANレポートVol.61にて
ご購読のお問い合わせは、本サイトのコンタクトフォームより、もしくは、info@bicp.jp までお願いいたします。
MAD MAN Monthly Report の本編は有料(年間契約)となります。詳しくはこちらのページをご覧ください。