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●「アド・フロード」(BOTによる広告詐欺)と「ビューアビリティ」
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「アド・フロード」(BOTによる広告詐欺)と「ビューアビリティ」
日本の「マーケジン」で下記の2つの大きな海外記事を「訳文」として紹介されていた。この件について少し解説を加えてみたい。
「IAB、広告詐欺を防止するためのガイドラインを発表」
http://markezine.jp/article/detail/20924
「現状では100%ビューアビリティ実現は無理」、IABが発表した広告業界が厳守すべき7つの原則
http://markezine.jp/article/detail/21635
■日本での「アド・フロード」の概念の定着の低さ
上記は単に米国情報を日本語に訳しただけなので、日本の広告主企業は独自で捉え方を考える必要がある。非常に大きなインパクトをもたらす重要なキーワードだ。ちなみに日本語で「アドフロード(Ad Fraud=広告詐欺)」と検索を試してみたが登場頻度は少ない。日本語にして「広告詐欺」と入力すると「振り込め詐欺」とか、個人に被害をもたらす「マルウエア」のような記事に行き当たる状態で、日本での意識はまだまだ低いようだ。
■米国では広告主一丸となり、調査開始
米国では広告主側の「フロード実害」が無視できないレベルに達し、全米広告主協会(ANA)が主導で大手36企業の協力により180キャンペーンにつき下記の調査を実施済みだ(2014年8月-9月)。世界に換算して$6.3billion(7,560億円)の水増し被害額で、動画広告のインプレッションの場合は約23%、ディスプレー広告の場合の11%がBOTによる不正閲覧だと報告している。
http://www.ana.net/content/show/id/botfraud
アド・フロードの被害が直撃するのは広告主なのだが、パブリッシャー側も常態化したCPMの下落はフロードが加速化させているのは間違いなく、業界全体で監視の目を強化する必要性がある。監視の声が小さくなってしまうのは「中間業者=ベンダー=代理店」の影響だ。結果的にトラフィック増(予算消化補助)は、採用プラットフォームの素晴らしい(水増し)レポーティングに役立つので、広告主と利益相反する。これを囚人のジレンマと言い切るか。
アド・フロードとは
様々な「新手」が出てくるが、公表されているアド・フロードのいくつかを紹介を紹介する。
・BOTトラフィック:
パブリッシャーがサードパーティーのトラフィックを買った場合、BOTによるビジター数が含まれているパターン。プレミアムパブリッシャーであっても採用している事があるので要注意だ。ANAの調査では、サードパーティーのトラフィック誘導の場合52%がボットである、と報告されている。
・広告差し替え:
パブリッシャーの気づかぬ所で、エコシステムの中に潜り込んだBOTがブラウザーの表示を差し替えるパターン。RTBによる(エクスチェンジ等からの)ディスプレー広告の場合、極端な事件としては、ウォールマートのサイトに(ウォールマートが気づかぬ所で)競合ターゲットの広告が流れる、というお笑いの事件も発生している。プレミアムサイトほど狙われやすい傾向がある。ANA調査では17%がボットによる差し替えであると報告された。
・BOTによるリタゲ、なりすまし:
例えば「車購入意向のあるターゲット」をBOTが「なりすまし」を作り上げ、ハッキングした一般消費者の端末をまるで人間の行動のごとくブラウザーを転々とサーチしたり、クリックしたりさせるパターン。ロードしたページを人間のように数秒間表示したまま(ランダムに)にしたり、カーソルやキータイピングを使ったり、ページを上下にスクロールしたり。ひどいものは購買クリックまでご丁寧に押して、コンバージョンコードを広告主に送るものもある。今回のANA調査では約19%がボットに乗り取られたリタゲであるとしている。
・パブリッシャーの乗っ取り:
パブリッシャーWEBがハッキングされていると、バイヤー側はプレミアムインベントリーを買い付けているつもりでも、BOTが設定した別WEBに転送露出されているだけという場合がある。
上記%数字はANA調査のWhite Ops社での調査であり・・・
続きはMAD MANレポートVol.3にて
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