こんにちは、“コロナ禍”を整理しながら、“New Normal” を考える、「BICP ’20チャレンジ」運営チームです。
「BICP ’20チャレンジ」は、社内でシェアされている様々な新型コロナウイルス(COVID-19)関連のトピックスを政治・経済・社会・テクノロジー・環境の5つのカテゴリに分類しながら、ディスカッションする企画です。
一人だと、消化しきれないもの、ちょっと他の人と意見交換してみたいな、というトピックを中心にピックアップし、座談会形式でお届けしていきます。
運営チームの渡邉、川本に加えて、今回は西村と私、成清を加え、4名の座談会形式でお届けします。
新メンバーの自己紹介
●BICP プロデューサー 西村
京都出身、東京在住10年目の新米イクメンパパ。リモートワークで子どもの成長を日々実感。趣味はフットサル、登山、ランニング、サバゲー。東京マラソン2021出場予定
●BICP プランナー 成清
大阪出身。趣味は、野球観戦、ガジェット購入、旅行。コロナ禍でテントを購入したが、準備が苦手でグランピングにハマる。
第4回目のテーマは“コロナ禍で浸透したデジタルは進化なのか代替なのか。”です。
4月7日に発令された緊急事態宣言から半年が経ち、世の中に“日常”が戻りつつある中で、このままかつての世の中に戻るのか、それとも新しい常識やスタイルが生まれるのか、をディスカッションしていきます。
成清:このテーマを話すきっかけになった記事はこちら。
DeNA南場智子オーナーと語る プロ野球の未来 完全版
(NHK 2020/10/7)
この対談で、NHK大越キャスターの
“ファンが「アバター」となってバーチャルの空間で観戦を楽しむスタイルは、一人一人の世界が小さなバブルの中に収まるように、社会性が失われてしまうのではないか?(一部抜粋)”
という問いに対して、横浜DeNAベイスターズ オーナーの南場智子さんは、
“インターネットが個々人を孤独にするという議論には与していなくて、物理的な制約に関わらずつながる、大変に温かいメディアでもあるんですね。コロナ禍のリアルの世界を補完するように、選手たちはインターネットを使って発信しファンとつながりました。オンライン観戦でバーチャルにハイタッチをしたり、イニング間はファン同士で話をしたり、そんな新しい観戦スタイルにトライできている。「インターネットvs.リアル」とか両者のバランスとかではなく、インターネットとリアル、バーチャルとリアルは必ず融合して、新しい価値や新しい遊び方、新しい仕事を生み出していくものであると考えています。(一部抜粋)”
と話されていました。
事実、コロナ禍で、アクティブシニアの約8割がインターネットで情報収集している、という調査結果もあるほど、デジタル化は一気に浸透したと思います。
「オンライン化」でシニアは生活を防御する
(博報堂WEBマガジン センタードット 2020/6/22)
しかし、このインタビューをテレビで見ていた時、ふと思いました。
結局、外に出てはいけないからデジタルで代替しているだけで、コロナが落ち着いたら当たり前のようにかつての生活に戻るんじゃないか、と。
そこで本日は、メンバーに集まっていただいて、仕事とプライベートで定着させたいもの、取り戻したいもの、を話し合ってみました。
個人作業は効率化した 一方で、連帯感を出す難しさが露呈
成清:今まで当たり前のように朝オフィスに行って夜帰っていたのに、リモートワークの浸透により通勤が面倒で時間の無駄に感じるようになりました。
いざ家で仕事をしてみると、今では個人作業は会社よりも自宅の方が集中できるとさえ感じます。一方で、社内外問わず新しいプロジェクトのキックオフはリアルじゃないとメンバーの温度感を掴めない、という難しさがあると思います。
川本:確かに、はじめましての会議はリアルの方がいいのはもちろん、会議の目的がアイデアを生み出すことやメンバー全員で合意形成する場合などはリアルの方がいいですよね。報告とか共有が中心になる定例会であれば、わざわざ同じ場所に集まる時間コストを考えるとオンラインの方が効率的だと思う。
渡邉:そういえば、最近おもしろい体験がありました。10人ぐらいがリアル参加でその他の人はオンライン参加というリアルとオンラインの融合スタイルだったのですが、リアル参加者の相槌や頷いているのが見えるので、聞き手の熱量が話し手にも伝わるという。
それだけだと普通なのですが、リアルで参加している人がオンライン参加の人にも画面越しに見えることで、熱量が画面越しにも伝わって会議自体に活気が生まれる経験をしました。
オンライン会議だと目が合うことがなくなり、どこか自分ごと化しにくい側面があると思うのですが、リアルとオンラインの融合だと参加している人の緊張感がオンライン参加者にも広がるので、これが新しいスタイルなのかもしれないなと思いました。
効率化を考えると全員が集まる必要はないかもしれないけれど、ファシリテーションする人と熱量を媒介する人はリアル参加で、それ以外の人はオンライン参加、みたいなスタイルはあるかもしれないですね。
成清:リアルコミュニケーションと効率化の両面を考えると、当たり前のように毎日出社して、毎日顔を合わせて会議をしていたのが、10年後とかにはフィクションになっているかもしれないですね。パソコンが登場する前の仕事を知らないのですが、満員電車も何世紀も前の話みたいに話される時代が来たりして。
ぶっちゃけ、Zoom飲みってどう?
成清:少し仕事から離れますが、Zoom飲みってどうですか?
全員(西村以外):会えるならやらない!BICPだと関西支社もあるし、岩手に住んでいる社員もいるので、全員の交流だといいけど、やっぱり会えるなら会う方がいい。
渡邉:Zoom飲みだと間が難しいし、どうしてもお見合いしてしまう。仕事の話をしていると「いま、食べていいの?」って思ってしまったり。新しいマナーとかは気にしないけど、全体の雰囲気が掴みにくいですよね。
でも、4人以下ならネガはそこまで感じないので、ブレイクアウトルームを使って少人数に分けるとかの工夫をするとそこまで盛り上がらないことはないのですが、やっぱりリアルで面と向かって話すことには劣りますよね。
西村:確かに、話しにくい、とか間が取りにくい、というのはあるのですが、家でやっていた時に隣に奥さんがいて、あとで「雰囲気良さそうな会社だね」と言われて、会社の雰囲気とか同僚の人柄を家族に感じてもらえたのは良かったです。
成清:仕事だと効率化は大事ですし、距離を超えた交流という意味では定着しそうですが、人と人との関係値で考えると、特に飲み会で真価を発揮する結託感はリアルだからこそ、だと思います。少し仕事から離れて、日常生活の中で何か感じたこととかはありますか?
子どもたちに広がる「新しいリアル」の形
西村:ドリブルデザイナーの岡部さんという方が1000人ぐらいのサッカー少年少女をオンラインで集めてドリブル教室(日本サッカーオンラインアカデミー)を定期的に開催していて、新しいリアルの形を感じる機会がありました。
教室自体はすごいシンプルで、岡部さんが見本を見せて、子どもたちが一斉に真似をするんですが、全員で同じゴールに向かってチャレンジする取り組みって、オンラインだから盛り上がらないなんてことはなく、めちゃくちゃ熱量の高いイベントになっていました。参加している子どもたちにとってはリアルだとかそんなことは関係なくて、純粋に楽しむ力と対応力の高さにも脱帽しました。
川本:似たようなことが我が家でもあって、夫婦ともにリモートワークになってから子どもが仕事中でも遊んで欲しいオーラを出してくるので、奥さんがSNSで遊び相手を募集したんです。
そしたら意外と集まって、「あつまれ どうぶつの森」の中で遊び相手をしてくれたりします。リモート ネイティブ世代の誕生などと言われたりしていますが、まさにリアルだけじゃない人とのつながりを、子どもは当たり前のように対応していてすごいと思いました。
「オンラインvs.リアル」から「オンラインもリアル」へ
成清:今日の色々な話を聞いて、今までの時代は会って「時間」と「場所」を共有することがリアルだったのに対して、これからの時代は「あつまれ どうぶつの森の中」の世界も、「ドリブル教室」の世界も、場所ではなく時間を共通していれば「リアル」になるのかもしれないと思いました。
今の子どもたちが大人になる時代には完全に新しい時代になる、という確信をこの座談会を通して持ちましたが、まさに今を過ごしている自分たちの時代でも、せっかく生まれた新しい選択肢を元に戻してしまうのは、もったいないです。
たとえば、出社は会議のスタイルに合わせて対面かオンラインを柔軟にする、浮いた通勤時間は家族との時間にあててもいいし、早朝に起きてアメリカのデザインスクールに通学してからそのまま自宅で仕事を始めるなど、新しい生活スタイルを選択できるようになる未来が来ると想像したらワクワクが止まりません。
コロナを機に、New Nomalという言葉をさまざまな場所で耳にするようになりましたが、半ば強制的に生活の中に取り入れられたデジタルによって、New Optionが生まれたというのが正確なのかもしれません。
「インターネットとリアル、バーチャルとリアルは必ず融合して、新しい価値や新しい遊び方、新しい仕事を生み出していくもの」というのはまさにその兆しが出ているし、今後もっとそうなっていって欲しいと思います。
どうせなら、このタイミングで広がったNew Optionの良いところは個人単位で取り入れていきたいと思います。