こんにちは、BICPの菅です。
いきなりですが、皆さんは「ワークショップ芸人」という言葉をご存知でしょうか?
初めて聞いたぞ?!という方、ぜひ、ググってみてください。はい、なにも出てきませんよね。僕が勝手に使っているのでそんな言葉はありませんw。
ワークショップ芸人とは、一言でいえば、
ワークショップのタイミングだけお呼ばれするプロの助っ人
のことです。
BICPの場合だと、日頃のクライアント支援業務はメンバー中心で進めつつ、価値創造のワークショップのタイミングだけピンポイントで、僕とか川越さんとか堀さんとかの役員陣や、プランナー職のメンバーがお呼ばれする、みたいなことがよくあります。あるいは、BICP主催ではないのだけど、クライアント企業やパートナー企業が主催するワークショップにお呼ばれする、みたいなやつです(こちらの方がより芸人的なアサイン)。
これ、けっこう嬉しいものなんです。あ、俺、刺激剤として期待されてるんだな、みたいな満たされた気持ちw あと、呼ばれた以上、ちゃんとパフォーマンスしなきゃアカンという、ほどよい緊張感。なんでしょう、他流試合に臨む格闘家、バラエティ番組でいうと主役じゃないけど盛り上げるために求められてる雛壇芸人w、みたいな感じでしょうか。
コロナ禍突入以降、皆さんの会社でも未来価値創造を目的としたワークショップを開催する機会が増えていませんか?僕自身も、BICPで手がけているプロジェクト、パートナー企業が手がけているプロジェクトも含めると、結構な回数でワークショップに参加をしています。
で、今回は、「ワークショップ芸人」としてお呼ばれした時に、ショットでもパフォーマンスするために僕なりに心得ているポイントをご紹介したいと思います。特に価値創造を目的としたワークでは、クライアント企業内の様々なバイアスに囚われるリスクを排除する必要があります。よそ者だからこそ発揮できるパフォーマンスを、そんな目線で、整理してみた項目ですが、芸人でない方にもお役立ていただけるかもしれません。よろしければ読んでみてください!
心得①:自己紹介で自由の翼を手にいれる。
アイスブレイクを兼ねた自己紹介、皆さんなんとなくやり過ごしていませんか?この自己紹介、実はワークショップ芸人としてポジショニングを確立するうえで、とても大切なインパクトポイントなのですw
先日は医薬系のプロダクトのワークに参加したのですが、その時はこんな感じで自己紹介をしました。
「こんにちは、BICPの菅です。このワークショップでは僕のことを『蒙古タンメンさん』さんと呼んでください。蒙古タンメン中本は、高校時代から30年間通い続けている激辛なラーメン屋です。胃にも腸にも攻撃力の高いソウルフードを食べまくっているのですが、実際に胃カメラを飲んでみると僕の胃の壁面はツルツルでいたって健康です。ちなみに、特技は胃カメラを飲みながら検査の先生と会話ができることです。」
なに言ってるんだろうこの人?ちゃんと笑ってくれる方も、失笑している方も、社長やっちまった。。になっているBICPのメンバーもいるかもしれませんが、僕はこれで良いのです。最初の自己紹介で、あ、この人はスベるのを恐れず好き勝手に喋る人なんだな、という場の認識を作ることが大切なのです。これで、僕は自由気ままに発言をすることができるようになるわけです。ワークショップ参加者の中に偉い方がいる時ほど、大事。自己紹介で、自由の翼を手に入れる。
心得②:クライアントに忖度しない。
そもそも、ワークショップ芸人はなぜ召喚されるんでしょうか?これは、クライアント企業が陥りやすいバイアスを薄めるためです。新しいアイデアを出さなければならない時、どうしても、これって実現可能だろうか?昔同じようなこと思いついたが困難だった。社内で通すのが難しい。あるいは、支援会社であれば、これは以前議論したことがあったな。ここまで振り切ってしまうとクライアントに怒られるかな。など。
そういう、忖度を一切しないことです。事情に流されてしまうと、もはやプロの芸人ではなくなります。プロの芸人のよい所は、その場だけのアサインだということ。日頃の人間関係や取引への影響などを考えなくてよいことです。
参加する以上、目的や資源や戦略を理解しておくことはもちろん大切ですが、社内の事情は基本的に拾わない。生活者からみた時に関係ない事情は排除します。ポリシーとしては、人間中心で考える、世の中の機会にときめく。面白いと思えるものを素直に出す。
心得③:あえて、犠牲となるアイデアを出す。
ワークショップ芸人は、お笑いのバラエティでいえば、雛壇芸人です。つまり、レギュラーではありません。雛壇の役割ってなんでしょうか?果敢にネタを広い、スベることも厭わず、主役である番組を面白いものに仕上げる、プロの脇役です。
デザイン思考的なワークショップというものは、発散と収束の繰り返しです。つまり、プロセスの中で犠牲となるアイデアの存在がとても大事。そして、この、犠牲となるアイデアからタネが残る確率が、僕の経験上、とても高いです。一方で、王道的なアイデアは、ワークの早い段階で多くの人が思いついてしまうものです。事実、複数のグループに分かれてワークをおこなうと、王道系の似たようなアイデアはどこからでも出てくる。よほど気をつけないと、誰でも思いつく新規性の低いアイデアになったり、競合による模倣困難性が低かったり、そんなアウトプットに着地してしまうのです。一見ハズレに見えるような、犠牲となるアイデアをギリギリまで粘ってw 意識的に出し続けることがとても大事です。
いきなり王道を狙っちゃダメ、ワークショップ芸人はハズレも意図的につくる、犠牲になってナンボ、なのです。
心得④:人のアイデアは全部拾う。
雛壇壇芸人って、基本的にはなんでも拾うのが仕事ですよね?w ワークショップ芸人も同じです。
全部、面白がる。全部、おいしい。グループ内には、ワークやアイデア出しに不慣れな方が参加していることもあります。それでも、絶対何かあるはず!という視点で拾いまくることが大事です。実際、なにも拾えないアイデアってほとんどありません。もっとちょうだい!タネちょうだい!という前のめり感。タネを見つけて味付けをして、グループ内の議論をさらに活性化させることに喜びを感じる。僕の場合は、なるべくグループで内ではリーダーシップを取らないようにしているのですが、セカンドファシリテーターとして頼りにしてもらえるポジションを取ることは意識しています。面白がってどれだけ拾えるか?が腕のみせどころ。
心得⑤:得意なフレームワークを持っておく。
ワークショップのテーマによりますが、例えば価値創造系のワークの場合は、一般的なデザイン思考、ビジネスモデル・キャンバスなどの、プロセスやフレームワーク、言葉の定義はちゃんと理解しておく。自分の得意なアイデア開発の思考プロセスを一つは持っておくことをオススメします。
他流試合の場合、お呼ばれする道場によってプロセスや方法論が異なる場合もありますが、自分の得意な型を持っていると、だいたいの場合は置き換えて解釈することが可能になります。これは、よいアウトプットに向かってワークが進行しているか、時々で検証しながらグループを裏方的に導くうえでもとても役に立ちます。
僕の場合は、オポチュニティ、インサイト、バリュープロポジション、アイデア、ターゲットを相互に行き来して検証します。こういう、自分が自信を持って考えられる物差しを持っておくと、他流試合にも自信を持って参戦することができます。
以上、心得5つ、参考になりましたでしょうか?
ワークショップの参加者を考えるとき、グループを構成するメンバーのバランスってとても重要です。自社メンバーの比率が高くなりそうな場合は、バイアスをとっぱらって自由に発散できる外部の人間を混ぜる。グループに一人、そんな人がいるだけでもずいぶんと議論の広がりやアウトプットの品質は変わるので、オススメです。どうしても内部比率が高くなる場合は(こういう場合が多いのですが)お伝えしたような5つの心得をワークショップのルールとして参加者の皆さんと共有するのもよいかもしれません。
と、いうことでワークショップ芸人の宣伝でした!呼んでいただければいつでも参上しますw
ついでに、もう一つ宣伝です!
BICPでは先日、with/afterコロナ時代のビジネスアイデア開発のプロセスをクライアント企業に提供する目的で「ニューノーマル ・デザインワーク」というワークショップ型のサービスの提供を開始しました。コロナ禍に突入して発生している生活者の新たな行動事象をn=1レベルで大量に収集し、これを刺激剤として新たなビジネス機会を探索する、そんなサービスです。パートナー企業のデコムさんと一緒に、ご提供しています。
世の中、もうちょっとだけ、先行き不透明な状態が続きそうですよね。こんな時だからこそ、なるべく多くの人と会話をして、立場を超えてアイデアを出し合い、新しいビジネスの機会を考える。そんな前向きな場を頑張ってつくっていきたいなあと考えています。
BICPにはたくさんのワークショップ芸人が揃っていますのでw ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。盛り上げ隊としていつでも参上します!