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<2月号の目次>
◎ Nvidiaが示唆する指数関数的成長への手がかり
◎ M&Aで買収したデータ企業は今も価値を生んでいるのか
◎ 放送電波の利用料が示す日本のテレビ局のビジネス構造
◎ 【コラム】MAD MANが解説する日本でのニュース
Nvidiaが示唆する指数関数的成長への手がかり
図1:CES 2025キーノートセッションに登壇するNvidiaのJensen Huang CEO

出所)CES 2025 NVIDIA Keynote
■Nvidiaの成長と歴史的背景
今やAI分野を牽引し、世界最大級の企業価値を誇る400兆円企業(3 Trillion Dollar)へと成長した「Nvidia」。創業は1993年であり、Jensen Huang氏が30歳の時に設立した。CES 2025のキーノートセッションでは、創業当初のテレビゲーム向けチップ開発から、図1右上に示される「Physical AI」の概念に至るまでの30年間の成長軌跡が描かれている。
Nvidiaの創業より約20年前に設立されたMicrosoft(1975年)やApple(1976年)をはじめ、巨大企業は30年超えの経営や技術の変遷を乗り越えて成長を遂げてきた。
日本企業ではSoftbank(1981年創業)や、Nvidiaの創業と前後するAmazon(1994年)、Yahoo(1995年)、Netflix(1997年)、Google・PayPal(1998年)などが並ぶ。MAD MANレポート読者は、これらの企業がどのように進化してきたかを、どのように評価するだろうか。
■どの企業も手の届く存在だった1995年からの20年間
現在400兆円規模のNvidiaも、1995年から2005年頃までは、数百億円〜数千億円の規模にとどまっていた。企業価値が1兆円(現在の約400分の1)を越えたのは2010年頃である。
2015年当時、トヨタやSONYはすでに10兆円規模の企業価値を誇っていたが、その間に「ドットコム・バブル(2000年頃)」、「9・11事件(2001年)」、「リーマンショック(2007〜2008年頃)」など、幾度もの経済危機を乗り越えてきた。
■異次元の成長が始まった2015年以降
GAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)+Nvidiaは、2015年以降、指数関数的な成長を遂げており、本章ではその成長軌跡をグラフで確認する。さらに、「AI加速」の予測を踏まえ、DDS(で、どう、する)に繋がるヒントを提示する。
筆者の視点として、消費者に身近な「マーケティング事業」に着目し、30年以上の経営記録を持つグローバル広告ホールディングス(Publicis・Omnicom・Dentsu G・Hakuhodo DYH)の企業価値推移を比較した。加えて、The Trade Desk、Accentureといった新興企業や、日本企業(Toyota・Sony・Softbank)との比較もおこなった。
本章が示唆するのは、現在のグローバルテック企業も30年前(1995年頃)には手の届く規模であり、1995年から2015年にかけては緩やかな成長が続いていたという点を再認識することだ。しかし、2015年からの10年間で急激な成長を遂げ、桁違いの価値が生まれた。読者を含め、多くの事業主が「GAFAMは自社とは無関係の大企業」と捉えているのではないか。果たして、本当にそうなのかを問い直したい。
以下に、Nvidia・Microsoft・Apple・Amazon・Alphabet・Metaを例に、マーケティング業界の事業主との成長率・金額の比較を示す。これにより、「2桁の規模差」、「兆円単位の成長加速」に気づき、次なる成長戦略へのヒントを見出すことができる。
■エージェンシー・ホールディングスの企業価値比較
図2のグラフは、広告・マーケティング業界のグローバルホールディングスの2015年以前と2015年以降の成長比較を示す。
図2-1:2015年までの各社の成長推移

図2-2:2015年から2025年までの各社の成長推移

出所)筆者作成
図2-1の棒グラフは2015年までの推移を示し、図2-2の棒グラフが2015年から2025年の成長比較である。2015年時点での各社の企業価値は$15 billion(約1兆円〜2兆円)で横並びだったが、2025年にはWPPの企業価値が半減し、Dentsu GやHakuhodo DYHも成長が停滞している。同じくOmnicomも横ばいに近いが、唯一Publicisのみが$25 billion(3兆円)規模に成長している。ただし、Publicisの成長ですら、他業界と比較すると「成長」と評価できるのか疑問が残る。
■新興エージェンシー・コンサル企業・旧エージェンシーの比較
広告・マーケティング業界のグローバルホールディングスが、この10年間で停滞している現状は、次の図3で明確になる。前述のエージェンシー事業価値と、The Trade Desk、Accentureの企業価値を比較すると、いかに旧エージェンシー(旧マーケティング・広告)事業が小さいままであり、成長投資や戦略的意図が欠けていることが浮き彫りになる。
図3: 新興エージェンシー・旧エージェンシー・コンサル企業の企業価値比較

出所)筆者作成
■日本企業の30年比較:トヨタ・SONY・ソフトバンクと電通G・博報堂DYH
図4は、日本の大手広告代理店である電通グループ(Dentsu G)、博報堂DYH(Hakuhodo DYH)と、日本を代表する企業トヨタ(Toyota)、SONY、ソフトバンク(Softbank)の企業価値を比較したものである。
事業規模の違いはさておき、トヨタ、SONY、ソフトバンクは2015年(紫の棒グラフ)を起点に堅調な成長を感じられる。特に、2020年から2021年頃の外出自粛期間を乗り越えた後の成長は顕著である。
余談だが、SONYの2000年の急成長は、ドットコムバブル期の影響によるものであり、その後の一時的な縮小を経て、近年の20年間で飛躍的な成長を遂げたことがわかる。
図4:日本の大手広告代理店と日本を代表する企業の企業価値比較

出所)筆者作成
■手の届く規模だったビッグテックが10年で急成長
図5-1は2015年時点の企業価値、図5-2は2025年時点の企業価値を示しており、縦軸の最大値は$3,500 billion=$3.5 trillion=約500兆円(1ドル=150円換算)である。
赤点線で囲んだ企業は「ビックテック」と称される6社(Alphabet・Apple・Meta・Amazon・Microsoft・Nvidia)だ。これらの企業のビジネスモデルを紐解くと、B2B領域における企業のマーケティング支援を基盤としており、今やこれらの企業のサービスを利用していない企業はほぼ存在しないといえる。
広告業界における比較では、「Publicisの好調」、「OmnicomとIPGの合併」などが話題になるが、これらはP/Lベースの競争に過ぎない。一方、コンサル企業であるAccentureの事業参入は、あくまで一部のサービス提供にとどまり、従来の人員積み上げ型のビジネスモデルの延長線上にある。
Accentureの社員数は世界4位の77万人であり、従来型の人材活用モデルで成長している。一方、ビッグテック企業は2015年(紫色の棒グラフ時点)から2025年(濃紺の棒グラフ時点)にかけて、時価総額で「200兆円〜300兆円」規模の上乗せを達成しており、その成長の差は歴然としている。
図5-1:2015年までの各社の成長推移

図5-2:2015年から2025年までの各社の成長推移

出所)筆者作成
■CES 2025が示したAIの未来:データと自律性が生み出す新市場
本章冒頭の図1(Jensen Huang氏によるCES 2025キーノート)で紹介された「AIの進化」は、以下の流れを示している・・・
続きはMAD MANレポートVol.123(有料購読)にて
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