MAD MAN MONTHLY REPORT

Vol.110 コンサルBIG4とアクセンチュア:エンロンの教訓(前編)




1月号の目次>

◎ プラットフォーム事業30年の歴史とその秘訣

◎ コンサルBIG4とアクセンチュア:エンロンの教訓(前編)

◎ コンサルBIG4とアクセンチュア:エンロンの教訓(後編)

◎ 【コラム】MAD MANが解説する日本でのニュース


コンサルBIG4とアクセンチュア:エンロンの教訓(前編)

 

日本において「コンサルvs広告会社(電通)」といった話題を記事や会話の中でよく耳にする。昨年の2023年7月にアクセンチュアが日本のPR業のベクトル社の子会社「シグナル」を買収発表以降、この話題の頻度は増えている。

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アクセンチュアvs.電通、「異業種バトル」の第二幕
「コンサル・広告の雄」が互いの本拠地に攻勢
20231023日 東洋経済ONLINE
出所)https://toyokeizai.net/articles/-/709804

<以下抜粋>
コンサルの雄がまた一歩、広告会社の縄張りに踏み込んだ。
アクセンチュアは102日、広告・PR会社のベクトルから子会社のシグナルを買収した。

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グローバルにおいても、アクセンチュアが「Droga 5」を2019年に買収した頃から広告・マーケティングの話題の中で「コンサルティングが…」という会話が増しているのも確かだ。アクセンチュア・ソング2021年に日本法人も設立している。

※Accenture Song はCEOのDavid Droga(Droga 5創立者) が率いる Accenture Interactive のブランド変更された部門

日本の大学生の就活先でもコンサル企業が人気を博している。筆者が聞いたことがない日系コンサル企業の名前が、大学生の就活先候補として頻繁に相談されている。なんでもかんでも「我ぞコンサル企業」と丸めて一括りにした上昇トレンド作りに乗せられてはいないか。

■営業のヒアリングはコンサルではない

人の話を聞くだけではコンサル(Consulting/Consultation)事業とは言えない。もし仮にそうだとするならば、単なる営業職がクライアントの話を聞く姿勢を持つだけで、働いているすべての人が「総コンサル」になってしまう。

営業職の会話(ヒアリング)の目的は、次なる物販やサービス販売にあり、単に会話そのものに課金する商売ではない。まずは、コンサル事業やコンサル企業としてのコアバリューについて確認してみよう。

■コンサルBIG4とは

「コンサルBIG4」が指すのはどの4社だろうか(お馴染みのMAD MANクイズ)。何を今さらと思っていただけるMAD MANレポート読者にはお詫びしつつ、このコンサルBIG4の単語は英語圏でも使われる概念だ。

① コンサルBIG4はどんな基準で順位づけされているのか
② その4社にはアクセンチュアや電通は含まれるのか

補足すると、このBIG4の由来は「会計監査系コンサルBIG4」を指している。①の答えは「Deloitte」「EY」「KPMG」「PwC」がグローバルでの上位4社だ(参照:マイナビ会計士)。②の答えは、会計監査の事業を軸としたBIG4を基準とするので、アクセンチュア(後述)や電通(を含む広告会社)はこの基準の外になる。(参照:BIG4の定義

■コンサルの老舗で大御所「MBB

このBIG4がコンサルの上位に位置するのではなく、その上位にさらなる存在がある。日本でもおなじみの「McKinsey & Company(以下マッキンゼー)」「Boston Consulting(以下BCG)」「Bain Capital(以下ベイン)」が、3社の頭文字から「MBB」として最上位に位置する(図1参照)。

最上位とは単に事業規模の順位ではなく、クライアント企業の事業そのものの「未来戦略」を上位概念から頭脳として活躍するということを指す。「MBBがBIG4より上」という権威的な概念は、MBBとBIG4の業界関係者の内輪同士ならば少なからず持っているはずだ。

 

 

1:コンサル企業の位置関係 MBB > アクセンチュア >BIG4

出所)MConsulting Prep

■アクセンチュアと広告系コンサルの立ち位置

コンサル業界MAPを描き出すと切りがないので専業の分類にお任せしよう(参考:リブ・コンサルティングの「コンサルティング業界カオスマップ2023)。本題は「Accenture(以下、アクセンチュア)」の立ち位置関係とその付加価値、そして、広告会社系(電通・博報堂・CA・WPP・Omnicomなど)が本質的に持っていないコンサル価値に焦点を当てる。

アクセンチュアはMBBとBIG4の間、あるいはその両方をカバーする立ち位置にある(※図1では「Tear 2」の位置)。アクセンチュアはこのMBB系の特性を保ちながら、BIG4の側面も持つため、図1のMBB・Tear2・BIG4をすべて包括する規模を有している。

上記に登場しない広告会社系(他にもSIer系・シンクタンク系など)や、コンサルと自称する企業はこの枠の「右外(下位)」の立ち位置に仕分けられる。それぞれの得意分野を持つ「ブティック(専門)コンサル」とみなすことができる。この仕分けに正解はあるわけではないが、得意領域の有無によってコンサルの強み、弱みが存在する。

たとえば、広告会社系が「全てを手がけるコンサル」と主張したところで、「M&A企業デューデリジェンス(FASコンサル:Financial Advisory Services)」を請け負ったり、「ジョブ型雇用に向けた新・人事評価制度(組織・人事系コンサル)」や「世界事象に向けたリスク・アドバイザリー(例:新型ウィルスの将来予測)」や「国際税務(例:巨大なるキャッシュフロー・マネジメント)」まではカバーできない。

(参考:マッキンゼーによるリスク・アドバイザリー「疫学的シナリオ」に関する自社レポート

■アクセンチュアの人材の規模感

前出のBIG4(Deloitte・EY・KPMG・PwC)とアクセンチュアを加えた5社のグローバルでの従業員数の規模感を把握しておこう。比較対象として、日本発祥の企業であるトヨタ、NTT、日立(グローバル)での従業員数も挙げる。

従業員の規模で突出しているのがアクセンチュアのコンサル集団。世界一のスーパーマーケットのWalmart(210万人)や、倉庫や配送、AWSのテック人材を抱えるAmazon(150万人)、台湾本社で中国に電子製品生産拠点を持つ鴻海(ホンハイ)科技集団(83万人)に次ぐ雇用規模(約73万人)だ。工場や店舗を持たない「人」だけの業態である。トヨタやNTTの従業員と比較しても、その倍の規模で世界にコンサル人材が存在している(図2参照)。

 

 

2:世界の企業社員数ランキング(各国で上場されている企業に限る)

出所)Companiesmarketcap.com

■コンサル企業同士の従業員数の比較

アクセンチュアのグローバルでの従業員数73.3万人は非常に大規模だが、BIG4も30〜40万人の規模で授業員を抱える。一方、電通グループは世界で7万人台と桁が一つ小さい。日本法人の従業員数も抽出したが・・・

 

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