◎ 2021年に必ず起こる来年へ繰り越された必須事項 ☆2021年未来へ向けて
◎ 再考:ファーストパーティ・データとゼロパーティ・データ
前編:勘違いされる「ファーストパーティ・データ」の例
後編:「ゼロパーティ・データ」の先回り
◎ 来たる5Gをふまえ、電磁波測定のススメ
前編:数値相場とその単位について
後編:室内と屋外での状況、5G時代の電磁波との付き合い方
2021年に必ず起こる来年へ繰り越された必須事項
2020年は一連のウイルスによって大きな生活の変化があったのは誰しもが実感し、その対応に振り回された年だったかもしれない。そしてその本来2020年に立ち向かうはずだったことの多くは2021年に顕在化してくる。オリンピック・パラリンピックが来年2021年に繰り越されたことを筆頭に、今年起きたかもしれない出来事が来年に繰り越された1年だった。
下記は2020年に気づいて、2021年には明らかになるトピック。中でも身近で大きな事を3つ選び短編でまとめてみた。コレらは未来予想というレベルよりもっと手前のTo Doリストみたいなものだろう。
米国での予兆をベースに、すでに日本語で報道されている記事(海外報道の日本語訳)を引用して短文の解説を添える。すでに目の前に「点」として知らされている事を、「線」としてつなぎ、その中でも大きな出来事として3つに絞ってみた。
☆1:【TV産業の新展開】テレビ視聴データとネット動画との統合指標へ向けた駆け込みの始まり
まず1つ目は、マーケティング界隈における「動画コンテンツ」や「テレビCM」に対する大きな波だ。広告主視点では、テレビ視聴とネットの動画指標が統合されて広告枠を売買出来たり、評価できたりする方がコストと効果管理がしやすいため、「便利」で「望まれる」事である。米国での「The Trade Desk」の躍進もお伝えした通りだ。
ところがその「便利」で「良かれ」と思っている技術が、米国では「それで良いのだっけ?」と振り返りが始まっている。2021年の日本では「米国に追いつけと新しい統合技術」がようやく始まる。しかし「それで良いのか」を同時に考える事にもなる。その予兆が2020年12月の総務省からの発表と、日本経済新聞社が報じたTV視聴データの活用や、米国ニールセンからの発表である。
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①TV視聴データ活用、指針整備 広告配信などで総務省
2020年12月8日 日本経済新聞
出所:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF00015_X01C20A2000000
<以下抜粋>
総務省はテレビ視聴履歴の利活用に向けたガイドラインを2021年度に整備する。インターネットに接続できるテレビの普及によって放送局は各世帯の視聴番組や視聴時間帯などの匿名データを取得している。放送局側の収集技術が整ったため、ターゲット広告などに活用しやすくする。新規ビジネスの開拓支援と安全なデータ活用の両立を目指す。(以下略)
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②視聴データ、テレビとネット統合 米調査会社ニールセン
2020年12月9日 日本経済新聞
出所:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV090F50Z01C20A2000000
<以下抜粋>
【ニューヨーク=共同】米調査会社ニールセンは8日、広告販売で使われるテレビの視聴率指標を見直し、インターネット動画の視聴データを統合した新たな評価指標を2022年10~12月期に開始する計画を発表した。ネット動画の普及を受け、広告効果を正確に測定するのが狙い。24年の完全移行を目指す。
例えばテレビ番組内の広告と、モバイル端末などで視聴される動画投稿サイト「ユーチューブ」内の広告の効果を同じ指標で測定できるようになる。1千億ドル(約10兆円)以上とされるテレビを含めた米動画広告市場に影響を与えそうだ。(以下略)
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その広告主視点の「便利」へ向けて、さらに下記③のような広告技術的な課題をクリアする事業が(米国より3年遅れで)2020年9月に立ち上がって発表されている。
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①ソニー系、テレビの視聴データをネット広告に活用
2020年9月29日 日本経済新聞
出所: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64380440Z20C20A9X20000
<以下抜粋>
ソニー系のインターネット広告会社、SMNは29日、テレビの視聴データを活用した広告配信サービスを始めると発表した。ソニーやパナソニックなどメーカーからテレビの視聴データを買い取り、自社が保有するウェブの閲覧データなどと組み合わせて個人の興味を分析する。データ分析から広告配信、効果計測まで展開し、テレビとネットの相乗効果を狙う。
(中略)
まずは主にテレビに広告を出稿する大企業の需要を見込む。2021年度までに1000件の広告展開をめざす。テレビと連動したネット広告などの展開を想定する。将来的にテレビとネットの融合が進めば、スマートテレビで個人に合わせたネット広告を流すことも視野に入れる。(以下略)
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①と②の影響の根源である米国の状況を復習として説明しておこう。
上記の発表の流れに至る根本にあるのが2019年9月に「MRC (Media Rating Council メディア視聴調査の監査協会)」が音頭を取って、米国の広告主協会(ANA)、広告業協会(4A)、インタラクティブ広告業界(IAB)、放送業界(VAB)でとりまとめたレポートがスタート地点にある。図1のクロスメディア視聴の計測の標準化へ向けてのレポートだ。
図1:米MRCがリードして作成したクロスメディアの視聴データに関する報告書
このコンセンサスの中でこれまで「テレビ電波放映」の基準の「View(視聴)」が、ネットでの動画の「View」との差異を埋めて、「統一したクロスメディアの指標」の中に組み込まれた。
その結果生まれた標準は、・・・
続きはMAD MAN Monthly Report Vol.73にて
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