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AI領土の広げ方。エヌビディア(NVIDIA)か、アマゾンか
図1:エヌビディアのホームページ。CESでのファンCEOの講演の様子がアップロードされている。
■ラスベガスのCESで基調講演のトップ:エヌビディア
今年1月のラスベガスで開催されたCES(※1)での基調講演のトップランナーとして、半導体メーカーの「エヌビディア(NVIDIA)」のジェンスン・ファンCEOが登場した(図1)。昨年のCESでの基調講演の主役はネットフリックスのリード・ヘイスティングスCEOが登壇したように、CESの基調講演を見れば、その時の象徴として期待されている技術やサービスを総括して知ることができる。
※1 CESは元々Consumers Electronics Showと呼ばれた略称だったが「Electronics:家電」にとどまらない拡大成長をしたので、Electronicsをはずし「CES」を正式名称にしている。
エヌビディアは、コンピュータのグラフィックス処理や演算処理の高速化を主な目的とするGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を開発し販売する。 GPUの方がCPUよりも単純化された演算コアが多く積まれているので、瞬時・多岐に渡る3Dグラフィックスの演算などに向いている。このため3Dを使った映像や細いタスクを同時進行させるディープ・ラーニングの分野でエヌビディアを採用する企業が急増した。エヌビディアは単なるチップメーカーとしてではなく、人工知能(AI)革命の立役者としてCESの基調講演に登場したのだ。
図2:エヌビディアの過去1年の株価推移。ヤフーファイナンスより
実際にグーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ソニー、バイドゥ等がいち早く採用。2015年時点で3,400社と、採用企業数は直近2年間で34倍に膨れ上がっている。応用領域もAIを含めた高等教育を筆頭に、ヘルスケアやライフサイエンス、ファイナンス、メディア&エンターテイメント、エネルギー、自動車、製造、ゲーム、防衛などへ広がっている。あらゆる産業と企業がエヌビディアのチップを採用し、AI方面に活用しようとしていることが分かる。エヌビディアの株価は2016年1年だけで3倍以上伸びた(図2)。
■エヌビディアが注力する3分野
多方面で活用されているエヌビディアのチップであるが、基調講演でファンCEOが強調したのは3分野。「VR(仮想現実)の世界を実現させるゲーム」、「テレビを中心としたスマートホーム」、そして「自動運転を見据えたスマートカー」の領域だ。
元々、グラフィックの演算が得意なエヌビディアのチップやグラフィックボードは、マイクロソフトの「Xbox」やソニー・インタラクティブ・エンタテイメントの「PlayStation」などゲームメーカーのハードに多く採用されていた。グラフィックの技術環境が「4K(8K)」 、「VR(バーチャル・リアリティー)」、「HDR(高画質技術)」と進むにつれて活用範囲が広がったため、今や「ゲーム」の概念はニッチな「ゲーマー」のためのものだけではなく「生活の(一部の)延長」として、デバイスを持つ人全員が対象となりえる成長分野だ。
例えばゲームにおける「Eスポーツ」は、既に「世界最大のスポーツイベント」として成長している。Eスポーツ競技は運動能力、訓練、戦略、チームワークが求められ、ライブを含む観戦者が世界中のSNS上に存在し、その競技人口は現状の全てのスポーツの世界人口合算よりも上回る可能性を持つ。
図3:エヌビディアを採用した企業数の伸びと、その採用産業。
円右側の緑の部分はHigher Ed(高等学習=AI)とInternet(IoT)の分野が過半を占める。
https://blogs.nvidia.com/blog/2016/01/12/accelerat...
■ゲームからテレビへ、そしてスマートホームからスマートカーへ
この延長でエヌビディアは自社の基幹商品であったグラフィックボードの「GeForce」を進化させ、家庭でのエンターテイメント全般を提供するSTB(セット・トップ・ボックス)の「Shield TV」として商品化した。199ドルのShield TVをAndroid TVと接続すれば、NetflixやAmazon Videoを4KやHDRで見られるだけでなく、ゲームを含めた娯楽をスマートホームのセンター・プラットフォームとして接続提供する。スマートホームへの進出はグーグルとの協業だ・・・。
続きはMAD MANレポートVol.26にて
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