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「視聴率」を捨て、エンゲージメントでバズ・フィードと競うテレビ局
図1:米バラエティ誌見出し
FOXチャンネルがネットワーク局として初めて「同日視聴率」の公表を取りやめすることにした。
米国のテレビ局が競う「ビジネス基準」は、「視聴率」でのチャンネル同士の%競争から「インプレッション数」の積み上げ競争に移ってきたのが10年程前。現在はさらに通り越して「エンゲージメント」指標での刺さり度合いの競争が始まった。今やテレビ・チャンネル局の競合対象はネットフリックス型のサブスクリプション・モデルよりも、「分散型・コンテントメディア(Distributed Content)」のバズ・フィードやハフィントンポストと競う構図が見えてきた。テレビ局の「脱皮」方向に注目してみる。
■「コンテント・マーケティング・テック・カンパニー」
バズ・フィードが掲げる企業スタイルは「コンテント・マーケティング・テック・カンパニー※」。各テレビ局が真似ずとも、脱皮してこれを意識する戦略に向かうに違いない。これまでの利権であった電波やケーブルというインフラに、コンテンツの配信を頼らない新ビジネスモデルを追う。コンテント(ニュース、ビデオ、VR、ゲーム等)をどう買付けてマーケティングし、テクノロジーでどう拡散(エンゲージメント)コントロールするかが、ざっくりとしたビジネスモデルになった。
※参考:エージェンシーグループであるWPPは自称「“world’s largest media investment group”—to license out a combination of proprietary software and creative services. としている。WPPは、世界最大のメディア投資会社=固有技術のソフトとクリエイティブ能力によるライセンス・パッケージの提供、としている。限りなく上記の新興メディア企業に近い。
■ドラマの視聴率基準の変化。当日の視聴率を捨てた?
テレビ局の「脱皮」の報道があったのは先月11月。FOX Broadcasting Company(以下、FOXチャンネル※)が「視聴率を捨てた」と報じられた。日本では気づきにくい事件その1だ。ルパード・マードック率いる21st Century FOXの傘下にあるFOXチャンネルが、放映翌日に発表する「ライブ視聴+同日視聴率(Live-plus-same-day)」の自社公表を今後行わない事を宣言したのだ。
※フルネームFOX Broadcasting Company(子会社)と書いたのは、FOX Entertainment Group(親会社)や21st Century FOX(親の親:コングロマリット)と区別するためだ。文中のFOXは番組制作チャンネルとしてFOX Entertainment Groupの傘下にあるチャンネル局の一つ。21st Century FOX(コングロマリット)傘下にはあの「スターウォーズ」等の映画のディストリビューションの他、数十のオペレーションビジネスを持つ。
「ライブ+同日視聴」はかつて、テレビ番組の金字塔となる花型指標であった。しかし近年はすでに小規模でプレミアムチャンネルのHBO、AMC、USAチャンネル等がこの「ライブ+同日視聴」の数字を追わない(基準としない)事を発表した頃から、使えない指標になる予兆はあった。大規模の「全国ネットワーク」チャンネルがこれを決めたのは、今回のFOXが最初となる。ネットワークチャンネルの並列競合はABC、CBS、NBC、いわゆる「ビッグ4」チャンネル達である。程なく残りのビック4も追いかけてくるのは間違いない。
■米国のC3、C7というテレビ視聴データとは
2007年頃からDVD録画の普及に伴い、「ライブ+同日視聴」の指標よりも「翌日3日間合計視聴率(C3)」がテレビ・チャンネル局側での番組販売の価値基準として流通していた。下がりゆく「ナマ」視聴に対して、C3は3日間の合算なので同日だけよりも当然数字が高くなり、スポットの価値を高く見せやすい。近年はエスカレートして「7日間合算視聴率(C7)」がテレビCM枠販売のスタンダードになりつつあった。3日や7日間の合算となると、瞬間を語る「率、%」は似つかわしくない。「合算総数=インプレッション」の概念に自然に移行していた。
■参考:米国ではTVメディアプランはインプレッションで積み上げる
参考までに上記の流れもあり、米国のマーケターやエージェンシーの目線では、日本で親しみのある「テレビ視聴率(rating)/GRP」よりも実はターゲット・インプレッション(Viewer:視聴者数)の総計を・・・
続きはMAD MANレポートVol.13にて
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