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メディア・エージェンシー選定、総入れ替え(エコシステムを統括できるエージェンシーは)
mm7_1米国でのメディア・バイイング・エージェンシーの「レビュー(Review):広告主による契約見直し」が、異常な程の件数発表されているのが表1(左表)だ。今年、2015年上半期のレビュー集計なのだが、すでに去年1年分のレビュー量に匹敵する20社、約110億㌦(約1兆3,000億円)程の予算が米国で動く。P&Gの26億㌦(約3,120億円)を筆頭に、ロレアル、J&J、ジェネラルミルズ、ユニリーバ、21世紀フォックス、ソニー、と大手予算がズラリと並ぶ。クリエイティブ・エージェンシーのレビューが2-3年毎で起こるのに対し、メディア・エージェンシーは9-10年程の長期固定である場合が多い。
この相場観からしても、これほどのグローバル大手が米国でレビューに一斉に踏み切ったのは偶然ではない理由があるだろう。
表1解説:(上部英文)Adage見出し5月12日
「単なる恒例行事ではない巨大広告主によるメディア・エージェンシーの一斉見直し」
エージェンシー見直しを発表した広告主の2014年度の米国におけるメディア投下量。
合計すると米国だけで1.3兆を超える量のアカウントが移動することになる。
これはグローバルの数字ではない点を補足しておく。Adage6月1日号
■レビューのコストを覚悟して
レビュー理由は当然の如く「コストの効率化」であるのは間違いなく、通常は15-20%くらいのコスト効率改善(コストセーブ)を期待してレビューを狙う。エージェンシーの「引っ越し、鞍替え」である事から、広告主(クライアント)側もそれ相応の「巨額の」引っ越しコストが発生する。レビューのプロセスコストは、数億円単位を覚悟の上だ。
■透明性議論は部分側面
MAD MANレポート3月号の『メディアからのキックバックがどうした。』で取り上げたが、エージェンシーのメディア仕入れコストの透明性に対する疑念(暴露)が話題になり、取引の透明性の関心が高まった。この透明性議論のレビューが連発した背景理由としても語られているが、これはほんの一側面でしか無いだろう。透明性を追求する議論への否定はしないが、エージェンシー側のアービトラージを特に問題視していないP&G(※)は、トラディショナル4媒体+オンライン・ディスプレイ広告メディアへの投下を2014年は前年比14%カットしてデジタルにシフトさせている(※ディスプレイ広告もトラディショナルの括りに入ってきた)。このクライアント側の逼迫した「デジタル・システム入れ替え」需要が、レビューのラッシュの根底にある。
※“Trust its agencies” http://adage.com/article/agency-news/p-g-wil/29866...
■アメリカから日本に向けての余波
広告主はマーケティング・エコシステム上の全ての相関を図りながら、各テクノロジー「スタック」を繋ぎつつ、戦略目標とコストカットの両面でのエージェンシーの見直しを行う事は、相当な覚悟が必要だ。オンラインビデオ予算を含めたエコシステムの再構築が今年は集中した年であり、この影響は日本にも及ぶ可能性が・・・
続きはMAD MANレポートVol.7にて
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