本日、2020年3月31日をもって、BICPは創業まる5年を迎えることができました。
なんとか、5年、生き残りました。支えていただいた、クライアント企業の皆様、パートナー企業の皆様、ジョインしてくれたメンバーのみんな、ご家族の皆様に心から感謝しています。5年間、本当にありがとうございました。
今晩は会社のメンバーと集まって5周年を祝いたいと思っていたのですが、コロナウイルス感染拡大の時節柄、一同自宅でこの日を迎えることになってしまいました。いま、まさに東京、大阪がオーバーシュートに突入するか、の瀬戸際。
正直、5周年ウェーイ、というアゲアゲな気持ちになれるわけでもなく、でも、このようなタイミングで節目を迎えるのも、自分たちの将来に繋がるギブンな状態なんだと前向きに考えるようにしています。
まだまだ、進化の過程、たかが5年なのだけど、されど5年。随分やっている仕事が変わってきたなあ、というのが正直な気持ちです。思えば遠くに来たもんだ、というヤツです。シンプルにいえば、戦術領域から、戦略領域へ、僕たちのサービス、スキルの幅を広げてきた5年間でした。言い方を変えると、手段から目的に近づいてきたというか。
上流、という言い方、僕はあまり好きではないのですが、5年前までは戦術側にいたBICPのメンバーが、いまは戦略を入り口にクライアント支援をするようになっている。まだまだではあるけども、頑張って積み重ねていけば、たどり着けるものだなあと思い、振り返りをしてみます。
第1期:デジタルチームの構築・マネジメント期
2015年4月の創業当時、BICPは「Connect the Expertise」というビジョンを掲げていました。資源としては、創業1年前に立ち上がった、デジタル時代のエキスパート集団「ベスト・イン・クラス パートナーズ」がありました。専門性の高いパートナー企業同士が相互に繋がりあってホリスティックなクライアント支援をおこなおう、という目的で発足したネットワークです。
あるメーカーがオウンドメディア構築のコンペを実施した際に、複数の広告代理店経由で同じパートナー企業に依頼が入った、みたいなエピソードもあったみたいです。だったらクライアントが最初からそのパートナー企業に相談したらいいじゃん、と。でもこれが難しかったのです。
生活者のタッチポイントが多様化し、マーケティングのデジタル化が進む中で、クライアント企業が自社の目的に対して適切に専門性を目利きして、選択して、マネジメントすることが結構難しかった。ここをニュートラルな立場で様々な専門性と共通言語を持ちながらチームをつくり、マネジメントしよう、というサービスです。
デジタル・マーケティング組織に必要なスキルセットの定義、適切なパートナー選定、コーポレートサイト、オウンドメディア、アプリケーションの開発、運用型広告のセミインハウス化などのプロデュース、マネジメントをBICPがおこなう、というような建て付けでした。
第2期〜第3期:コミュニケーション戦略設計・マネジメント期
当たり前なんですけど、チームづくり、マネジメントをおこなううえで、ただクライアントとパートナーの間に挟まって、選定します、マネジメントします、っていうのは正直そこまでバリューが出ないんですよね。だいたい、力のあるパートナー企業は直接クライアントと繋がってる。どうやってワンチームにするか?どうやってマネジメントするか?のメソッドや、それによる効果が見えなければ、クライアントからもパートナーからも存在を認められない、というか。パートナー選びとマネジメントだけじゃ生きていけないなあと(そりゃそうだw)。この壁にさっそくぶつかりました。
ということで、複数の施策領域、パートナー企業の傘となる、横断型のコミュニケーション設計とマネジメントにサービスの軸足を置くようになりました。専門性が高いパートナー企業がクライアントと直接繋がるからこそ、個別最適や分断が発生する。そこを、顧客を中心としたコミュニケーションシナリオを設計して、必要な施策の要件、それぞれの役割、KPIを定義して、マネジメントしよう、という考えです。
コンテキスト分析、ペルソナ設計、コンセプト設計、シナリオ設計など、取締役の堀くんとホワイトボードを使って日夜格闘しながら方法論を磨きました。設計したシナリオは100本以上はあると思いますw 毎日シナリオ祭りでした。この時期に磨いた方法論は、いまでもBICPのコミュニケーション戦略の設計サービスとして活かされています。
第4期〜第5期:マーケティング戦略設計・マネジメント期
コミュニケーション戦略のサポートを続けている中で感じはじめた問題意識。クライアントのビジネスにより大きなインパクトを生み出すには、そもそもの戦う市場から定義し直さなければいかんということ。そういった場面によくぶつかりました。というか、そこに入りたい、という願望が常々ありましたw
コミュニケーション施策の段階で解決できるビジネスの問題は限られている。もちろん、施策のインパクトとPDCAで生み出せる成果もあるのですが、どのような価値をもって市場でポジションを切れるかが、そもそものところで、一番インパクトが大きい。4Pでいうプロモーションの前に、プロダクトやサービス、あるいは売り場も含めた価値の総和が、バリュープロポジションから導かれているか。ここにアプローチしなければ、マーケティング・プロデュース業と胸を張って言えないなあと。
ブランドが保有する資源を再解釈して、生活者の観察に基づいた新しくて受容性のある価値の設計、戦いにいける市場を定義する仕事。
僕らより経験、スキルの高いマーケターの先輩方との出会いや教え、インサイトリサーチやオポチュニティ探索に優れたパートナーとの連携強化などもあり、第4期〜第5期はひたすらマーケティング戦略に関わるプロセスや方法論を磨きまくりました。結果、いま、BICPのお仕事の半分以上が、このマーケティング戦略を入り口とするものに変化してきました。
あっという間の5年間。ただ、振り返ってみると戦術側から戦略側へ経験を積み上げながら、領域を広げてきたなあと。シフトというよりは、拡張。BICPは、ようやく、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略、チームづくり、をトータルでサポートできるようになりました。
クライアントとの出会い
このプロセスは、その時々で、仕事を預けていただいたクライアントの存在なしに語ることはできません。実力以上の期待をかけていただきました。そのお仕事に磨かれて僕たちはストレッチできたと思っています。
創業前の3月に挨拶にいったら、デジタル組織の構築支援でいきなり半年契約をいただいたクライアント、僕と同じタイミングで転職してオムニチャネル新サービスのシナリオ設計を預けていただいたクライアント、一緒に日本発のグローバル事例を作ろうと声をかけていただいたクライアント。みなさん、まだ海とも山ともわからない、一年目のマーケティング・プロデュース業に期待をかけていただきました。本当にありがたかった。おかげで、BICPは一年目からPLが安定しました。
ある日、ホームページのフォームから問い合わせをいただいたクライアント。日本を代表する企業からフォーム経由で問い合わせが来るなんて!と心が踊りました。半分勘違いだけど、自分たちの会社が世の中に認められはじめた気分。会社が少しずつ大きくなって、日々の仕事が回るようになると仕事があるのが当たり前だと麻痺する瞬間があるかもしれない。が、この時の純粋な喜び、感謝の気持ちを忘れてはいけないと思う。
データ基盤構築のきっかけを与えてくれたクライアント、オーセンティックなマーケティング戦略の入り口を作ってくれたクライアント、CMO就任と同時に僕たちをPMOとしてアサインしてくれたクライアント、すべての出会いと機会の提供によって、僕たちは成長することができました。
4月にささやかな5周年パーティを計画していたのだけど、残念ながら延期にしました。その場で支えていただいたクライアントの皆様、パートナーの皆様に、御礼の気持ちをお伝えしたかったのだけど。これはまた落ち着いたタイミングで実施したいです。
これからの5年
今月、ようやく5年分の経験と知見を形式知化したBICPの教科書、β版ができました。プロセス、フレームワーク、そしてPMのメソッド。これを秘伝のタレとして伝承し、経験を継ぎ足しながら、BICPの共通言語として進化させていきたい。5年目の終わりにこれが出来上がったことが、一つの成果。
一方で、僕たちが大切にしたいこと。教科書、プロセス、フレームワークの基本形はできた。が、結局はそれを活用する僕ら自身が、目的によって適切に方法論を選択し、本当に筋の良い戦略、価値、アイデアを生み出せるか、が勝負。戦略は大事だけど、戦術も疎かにしない。取締役の堀くんはいまでもコピーを書きます。川越さんはいまでもCMの演出をやってます。僕はなんだろう、営業かなw でも、全員が戦略をつくる。これは現場のメンバーも同じ。
それが、戦術側から戦略領域に幅を広げてきたBICPらしい強みなんだと思う。やり方の基本形はできたので、ここから先はより、筋肉質に、体幹を強くしていく。全員が実力者の集団を目指そう、と昨日の定例会では話しました。
トランプさんが「今は戦時下」という言い方をしているけど、実際、全世界の人々が同時に、こんなに生き死にを身近に感じたことって大戦以来なかったんじゃないかなと。このトンネルをいつ抜け出すか、はともかく、これをきっかけに消費の価値観も大きく変わるはず。モノの豊かさからコトの豊かさへ、の、さらにその先。それでも満たされない欲求は、結局、自分はどう生きるのか?という世界に入っていくんじゃないかなと。生き方の価値観と消費が繋がる世界。
足元を大切にしながら少しずつ拡張してきたBICPだから、ここから先の5年も一日一日を大切にしつつ、新しく始まる変化の時代に適応しながら歩みを続けていきたい。
写真は創業3ヶ月目。無駄に広いオフィスをつくってしまって、誰もいない。ポツーンな僕。
そして、いまのメンバー。2020年1月の大阪合宿にて。ありがたいことに、愛すべきメンバーしかいない。
いま、残念ながらリモートで同じ場所にいることはできないのだけど、心の繋がりがあるメンバーだから、離れている気がしない。コロナは歓迎できるものではないけども、物理的に離れているからこそ、メンバーとの絆を再確認できる良い機会にもなった。メンバーに恵まれているのはとても幸せなことです。落ち着いたら、また皆んなと向かいのサカナズキで飲みたいなー(安い店ですませるw)。
ということで、つらつらと振り返ってみました。たかが5年なので、あまり大げさに書いてもアレなんですけどw せっかくの節目なので。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!
マーケティングの力で、世の中をハッピーに。
BICPの次の5年も、どうぞ、よろしくお願いいたします!